若い頃、ずっと思っていた。
今の自分は、本当の自分じゃない。
いつか必ず、本当の人生が始まる。
大人になったら、何か特別な存在になる。
そんな感覚がずっとあった。
自尊心が高かったわけではない
別に、自尊心が高かったわけではない。
むしろ自信なんて無かった。
でもなぜか、
「私はこのままでは終わらない」
「普通の人生ではないはず」
そんな感覚だけは消えなかった。
娘にも重ねていた理想
そして娘に対しても、
どこか同じように思っていた。
この子は特別な子。
ありきたりの人生では終わらない。
飛び抜けて優秀になって、
何か大きなものを掴む人になる。
そんなイメージを、
現実とは別にずっと心の中に持っていた。
気付けば、静かな人生の中にいた
でも現実の人生は、
思っていたより静かだった。
毎日が劇的に変わるわけでもなく、
特別な何かになる瞬間が来るわけでもなく、
気付けば、ただ年齢を重ねていた。
普通の人生を受け入れられなかった理由
そして最近になって、ふと思う。
なぜ私は、
普通の人生をこんなに受け入れられなかったのだろう。
季節を感じたり、
好きなパンを食べたり、
夕焼けを眺めたり、
小さな楽しみを積み重ねながら生きていく。
本当は、
人生のほとんどはそういう時間なのに。
以前の私は、
そんな日常をどこか「仮の人生」のように感じていた気がする。
今、少しだけ思うこと
でも今は、
そういう小さな時間の中に、
ちゃんと人生があるのかもしれないと思い始めている。

